日常の素材での「感覚統合訓練」。

日常の素材での「感覚統合訓練」。









 くまさん横浜では、将来、障がい児たちが社会に出た時のために「日常生活の動作訓練」を重視しています。

 定番としては、これまでにご紹介した「牛乳パックのリサイクル」「ペットボトル剥がし」「掃除」「雑巾がけ」「スタンプ押し」「パンチでの穴開け」「シュレッダー」「ビニール袋や新聞紙たたみ」・・・etc、豊富な訓練メニューを実際に行っています。

  その中の一つに「ダンボール開梱」があります。時々、宅配便で届く荷物を開梱するのは、実は一部の児童にとって、とてもよい訓練になるのです。

 

 まず、ダンボールのフタを留めているテープを、できるだけダンボール地を剥がさないように、そっと「テープだけ」を剥がしてもらいます。これは、指先の力や角度のコントロールだけでなく、「テープの接着粘度」を感じ取りながらそろそろと剥がしていく作業になりますから、大人でもなかなか難しく、とても繊細で微妙な感覚が求められます。

 

 そして次に、荷物の中に時々入っている「プチプチ(=エアーキャップ)」をつぶしてもらいます。これもとてもよい指先の訓練になります。一つ一つの「粒々」をきちんと認識し、一本の指で上手に力を加えてつぶしてもらうのですが、上手につぶれると「プチッ」と音がしますが、つぶれない時はビニールが伸びて「ぐにゃっ」となります。この違いがわかるようになると、指先の巧緻性の能力がぐんとアップします。

 

 こうしたことは、どこのご家庭にでもある一見なんでもない材料で行われますが、自閉症はじめ知的障害児にとっては「感覚統合療法」と呼ばれる療育活動につながります。

 本当はそれ用に開発された専門の教材を使いたいのですが、なかなか全ての療育教材を買いそろえることもできないので、職員たちが工夫しこうした「日常の素材」で訓練を行っています。時々このブログで紹介しているご寄付の荷物も、その梱包までこうした療育活動に使わせていただいています。

 
 以前「手を使う」の記事でもご紹介しましたが、指先を正確に使っていくことは、将来、児童がどんな分野に進むにしても大事な「生活動作」の基礎となります。また、指先への刺激は子供にとって脳の発達を促す機会となります。

 

 くまさん横浜では、児童たちの将来のために、こうしたことを訓練活動の中に取り入れています。

 


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