【洗濯バサミのワーク】

【洗濯ばさみのワーク】

 くまさん横浜では子どもたちに様々な訓練課題を持つ日中活動のワークを行っています。インターネット上のブログやFacebookでは、「外出」「調理」など写真映えする活動のご紹介がわりと多いのですが(笑)、机に座っての地道な訓練活動も行っています。

 こちらは最近、小中生の活動で頻繁に行っている「洗濯ばさみのワーク」です。何かをはさむためには、親指と人差し指に力をぐっとこめて洗濯ばさみを開かないといけません。この作業は「指先の巧緻性」の基本的な訓練です。また、ただ開けばよいわけではなく、厚紙などを挟み込みますから、開いた口の「角度」を紙と上手に合わせないと挟めません。これがなかなか子どもたちにとっては難しいのですが、いったん始めると面白いらしく、ご覧のとおり真剣な表情で集中していきます。ふだん、お外で体を動かすのが大好きな元気な子たちが、こうした表情で座って課題をこなしている様子は、職員にとってもまた嬉しくかつ身が引き締まる時間です。

  大人にとって何ということのないこのような動作でも、実は指先に力を加えつつ手首や肘を適切な位置や角度にコントロールする、という精密な身体運動です。こうした訓練を子供たちが楽しみながらできるように、きちんと並べるとかっこよく見える「丸い紙皿」につけて「ライオンができたねー」「お、こっちはひまわりー」と作ってみたり、洗濯バサミを着けたら動物に見える台紙にして「うさきざん」「バンビさん」などを作ってみたりと、課題の設定はいろいろな工夫をおこなって準備がされています。

 私たち人間は意識するとしないにかかわらず、生活の中で様々な身体運動を行っています。いえ、むしろ「呼吸」「睡眠」といった臓器の活動まで身体運動とみなせば、私達の人生の全時間は身体運動で構成されており、体を使わないで生きていくことはできません。しかしその身体運動のほとんどは意識されておらず「自然に」行われています。くまさんが子供たち、特に小学生の小さな子どもたちに「身体の発達」「運動の上達」を重視しているゆえんです。 

 障がいの有無にかかわらず子供たちが「大人になること」の定義の一部に、この「大人がしている動作や運動が自然にできるようになること」があるとくまさんでは考えています。専門的には「日常生活動作(ADL)」そして「手段的日常生活動作(IADL)」と呼ばれる動作ができるようになること、これがくまさんでの子どもたちへの教育(療育)の目的のひとつです。

 くまさん横浜は定員10名の小さな小さな事業所です(小中部:10名/NEXT:10名)。横浜市の片隅で細々と、しかし子どもたちの笑顔とこうした活動を毎日行っている子どもたちの居場所。私達はこれからもそんな場所であり続けたいと考えています。


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