自分発。「社会」の扉を、開く? 閉じる?

生きて、社会の一員として暮らす限り、公私生活を通じて、誰もがさまざまな場面で、支援や助言・応援を必要としている(大方、オッケイということでいいですかね)。

日々を暮らすための課題、前向きに生きるが為に生じる問題の解決に向けて、周囲の人たちや地域社会の施設・機関、知識や技術、設備や物品、情報や助成等の制度・法律などを必要としています。

「社会資源」・・・「福祉」や地域活動の分野ではおなじみの言葉ですが、初めてこの言葉を知った時は感覚的にちょっとした違和感を覚えたものです。が、それからずっとライフワードとして胸中にあります(関心のある方は検索を)。

当初は、人が人のために、時代・社会状況の中でつくった多くの物事を「資源」・・・必要としている側が、利便性からの片側通行で受益を得るかのような感覚もありましたが、考えてみたら、この「社会資源」を見つけるも、見つけないも、活かすも、活かさないも、有用と感じるも、そうでないも。その人自身が、生きる「社会」の中で、どんな立ち位置にいるかと感じることによっても違ってくるのでしょう。

人が、人と関わったり、自宅以外の場所で他者と生活時間を共有するということは、<つながる><つなげる>(あるいは、離す・離れる)ことの中で暮らしていることでもあります。世の中にある人との関わりや物事について、可視化できることと、可視化できないことへの意識も含めて、日常的に仕事や活動、遊びetc・・・そこに、どんな想いがあったり、暮らしの在り方を求めているかにもよります。もちろん、善し悪しの話ではなく。

個人的には、これまで地域活動への参加や親の会に属し、「社会資源」を活かす=自分が動くことで、「意味のある偶然の出会(合)い=シンクロニシティ」に近いことは在る、と思っています。人でも情報でも物でも、「答えは、案外、近くにあるかもね」とそれぞれで発信しているお互いが、意識的に「場」を共有してつながるわけですから、考えてみたら、シンクロニシティ(あるいは、セレンディピティ)は起こりやすい。そう言えるのかもしれません。

ずっと自宅の机の前に貼ってある記事の切抜きをご紹介します。

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「支援を増やしておくのが、いちばん安全なんです」 熊谷晋一郎

ケアという関係は、家族や親しい人の献身的な支援へと閉じるのではなく、いつでも手伝ってもらえるような依存先をあちこちに分散させておくことが肝要だと、自身も重い障害をもつ小児科医が語っていた。これは介護される者だけではなく、介護する側にも言えること。ケアを受ける人より、ケアをする人のほうが往々にして助け手が少ないという重い事実もある。

2015年11・16 朝日新聞 「折々の言葉」から

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子どもが中学生の頃、学校から呼び出されもし、自ら行くこともありましたが、一つだけ、揺るがずに思っていたことがあります。「子どもと、自分は一個の弱い人間であり、彼らは一緒に考えてくれる応援団としている。彼らは、まぎれ間もなく、当事者家族の味方である」・・・家族(夫婦)を含めて、生まれも、考え方・感じ方も違う他者の中で、時に摩擦やすれ違いはある。その時に、いつも思っていたことがそういうことです。相手をねじ伏せようとか、違うからといって取り合わないとかをせずに、接点はどこか、そこからと考えて、「自分を開いていく」ことで、相手の反応も違ってくる場合もあります。想いからの言動は、その人の根づいた体温、距離感として表面化するものだと思いたいからです。

「自分のドアを出来る限り、開いておく」。そして、その眼と耳で世の中の声にふれる。ということは、やっぱりとてもたいせつで、それが常態化していると、自分にとって必要な「社会資源」を見つけ、つながることができやすいのでは? と思っています。

私たちの事業所にも、さまざまな特性をもった児童が通います。「当事者(家族)」×「社会資源」×「支援」は、なにもこうした福祉の場にだけ言えることではなく、日々、暮らしていて、なにかの問題を解決したい・・・そのとき、「開いた生き方、在り方」をしている人のすべてに、いろんなかたちでつながりをもたらし、光を与えるもの。それが、その人にとっての「社会資源」と言えるのではないでしょうか。

ちなみに、以前に新聞で知った「いいね!」の地域活動人は、「社会(地域)資源を使い倒せるか?(笑) が、成否のカギ」と言ってました。

※複数の職員が、日々の活動を通してそれぞれの視点で綴っています。


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