共に社会を生きていくために。

共に社会を生きていくために。

 

 くまさん横浜のある横浜市では「よこはま子ども国際平和スピーチコンテスト」という大会が毎年開かれています。その名の通り、小中学生の子どもたちが「国際平和」についてスピーチを競う大会です。

 

 一言で「国際平和がテーマ」と言っても、ただ単に「戦争しない」などという問題だけではありません。2015年に国連で採択された「持続可能な開発のためのグローバル目標」に基づき、貧困や飢餓の撲滅、平等な教育を受けることができる環境、再生可能エネルギーの利用、災害に強い社会、海や陸のいのちを守ること、平和で公正な社会の推進・・・・などなど、さまざまな視点から考えられる「国際平和」がテーマになっています。

 

 今年2016年、このコンテストの小学生の部で、くまさん横浜のある港南区のお隣、栄区での代表になった橋田美穂さん(上郷小学校6年)のテーマが、「共に社会を生きていくために」でした。

 実は橋田さんの弟さんが自閉症で知的障害をお持ちになっており、そのご自身の体験から「障がい児/者と健常者が」共に社会で生きていくために、というテーマだったのです。
 スピーチの中で橋田さんは「私ができることは、弟と二人で出かけることです。そして弟の姿をみんなに見てもらい、知ってもらうことです」と話されていました。小さい頃から障害を持って育ってきた弟さんをずっとそばで支えていらしてきて、多くの方々に正しい理解をして欲しいという思いがあふれるすぱらしい内容でした。

 

 先日、同じ神奈川県の相模原市の障害者施設で、悲しい殺人事件が起きました。事件をめぐる報道やネットでの発信などを見ても、障害者、とりわけ知的障害者(児)に対する偏見や誤解は、正直申し上げて、まだまだ社会一般に根強くあると感じています。

 

 しかし、私達はこうした人達と社会で共存していかなければなりません。障がいを持った方々は「見て見ぬふり」をする対象でもなければ「哀れむ」対象でもありません。同じ社会で一緒に生きていくための相手です。そしてその相手のことをまずは「知る・理解する」ことから始めることが大事だという、橋田さんのこのスピーチに、くまさん横浜は賛同しています。

 世界の歴史の中では、かつて、女性や子供には人権が認められない時代がありました。おそらく今後の社会の進歩の中で、障害者に対する理解もそのように進んでいくことと思っています(というかそうでないといけません)。

 

 くまさん横浜は横浜市の片隅の小さな事業所ですが、こうした「一般社会と障害児との架け橋」の役割の一端を、私達も少しでもを担えれば、と常日頃願っております。くまさん横浜の、こうしたささやかなネットでの発信や、ボランティアや見学の受け入れや、大学や企業への研究や研究協力や教材の共同開発などが、そうしたことに役立てれば良いなと考えています(^_^)。

 

※本稿執筆にあたり、栄区・上郷小学校の橋田美穂さんから、こちらのお写真の提供をいただきました。ありがとうございました。

 


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