お絵かきと集中力

お絵かきと集中力




















 

 【お絵かきと集中力】

 

 まずはこの写真をご覧ください。くまさん横浜で、子供たちが熱心にお絵かきに取り組んでいる姿です。どの子も目の前の紙とペンに集中して、思いを形に表現しようとしています。こうした時の子供たちの顔は、とても「知的障害」という言葉が似合わない、真剣でとてもいい顔をするのです(^_^)。

 

 くまさん横浜には「お絵描き」が好きな児童がたくさんおり、毎日大勢の子がペンと紙をせがんできます。何を描くかは好みによって色々ですが、ひとつ共通して言えることは、どの子もお絵描きの時はとても集中して描くということです。自閉症の子も、ダウン症の子も、発達障害の子も、多動の子も・・・その子が持っている障がいのタイプや年齢や男女の区別に関係なく、場がしんとなるほどお絵描きに集中します。そしてこうしたことは、私達一般の大人の「障害」に対する捉え方を時に変えていきます。

 

 「障害児だから集中できない」「障害児だから机に座って何かするのは無理だ」「障害児だから・・・・」と私たち大人はつい考えがちです。しかしそうではないのです。子供たちは「自分が集中できるもの」を見つけられれば、このように「黙って座って、一つの作業に打ち込み続ける」ことができる子は多いのです。

 

 逆に言うと、子供たちが「集中が続かない」「机に長い間座ることができない」のは、それに値する課題を大人が与えてきれていないから、という場合が多く、それは「子供の問題」ではなく「大人の問題」なのですね。

 

 彼らの多くは言葉で自分のしたいこと、欲しいものを伝えることができません。ですから療育活動においては、周囲の大人は子供をよく観察し、子供が何をしたがっているのかを的確に推測し、そして適切な課題を与えてあげることが求められます。つまりなんの事はない、コミュニケーション能力が求められているのは児童ではなく大人の方なのです。そして障害児たちとのこうしたコミュニケーションは、大人の側の能力を鍛えるいい機会なのですね。

 

 日々障がいを持つ子供たちに接していると、実は「教わっている」のは自分たちであり、訓練されているのは大人の側だったりすることに気づきますから面白いものです。

 

 くまさん横浜では毎日職員たちが、このようなことを考えながら日中活動に取り組んでいます(^_^)。

 


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