開く声

開く声


「誰か、私を助けてください。私に、力を貸してください」

 

人間のもつ「強さ」とは、なにか?

いまの自分を認めることができる、そんな人が自分を発する姿勢にも感じとることができます。人は、どんな「場所」に居ようとも、人と関わることで、助けたり、助けられたりしながら生きています。かつて耳にした、きちんと日々を生きようとする人間の肉声が、社会に関わることの意味を繰り返し問いかけてきます。

 

もう20数年も前のこと。決して忘れることのない、胸の奥に響き、勇む気持ちを与えてくれた声があります。横浜駅構内、JRのホームに続く階下から、車椅子の青年が発した言葉でした。朝の通勤・通学時間帯のピークは過ぎたとはいえ、多くの人が行き交い、混雑していました。駅職員の方も忙しくて状況での即応が難しかったのもしれません。

青年の声が聞こえてきた時、青年を背にした状態で少し離れた所にいたのですが、力強い声が耳に届いてきたのです。その声に振り返ると、すでに複数の人たちが車椅子の周りに集まってきていました。

 

青年の声は、気負いなく、一個人の堂々と生きる意思と、自尊心を感じさせました。自らのハンデに向き合い、心を開き、人に関わり合いを求める姿勢があったからこそ発することができた言葉なのではないでしょうか。

そして、すぐさまに駆け寄った人たち…駆け寄っていない人たち(既に人数が足りているので)も含めて、「自分にできることがあるのなら」…と、あえて口にするまでもなく、自ずと身体がそこに向いた人も多かったはず。普段着のお役立ちの心は多くの人がもっていて、誰かの声をきっかけに、当事者と周囲がつながっていく。

助けた、助けられた、ではなく、「自分一人ではできないこと × 自分(私たち)にお手伝いできること」のご縁・掛合せの中で、お互いが日々に生きる術(すべ)や勇気を育んでいるのだと思います。その場に起きた情景は、「人は、誰かの役に立つことを願い、喜びを感じている」・・・たとえ、ほんの一時だとしても、人と人とは社会の中でつながることを本能的に求めていることをリアルに体感させてくれました。

私たちの仕事は、「放課後等デイサービス=通所支援事業所」の場、サービスを提供することです。同時に、児童と職員、保護者の皆さまと職員、ボランティアとして活動をサポートいただく方々や様々な関係者・地域の方々との関係は、それぞれの立場をこえて、「人が人に」「人と人とが」の関わり合いでもあります。

私たち一事業所にできることはささやかなことですが、「人としての組織」としてどう在るべきなのか。福祉の分野に留まらず、様々な分野で経験を積んだ職員が、

「チームとしての考える力」を大切にしながら、日々の活動に取り組んでまいります。

 ※くまさん横浜のブログは、複数の書き手が様々な視点で日々の活動を綴っています。

 


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