【支援介助法の研修会を行いました】
【支援介助法の研修会を行いました】
先月末の22日に、くまさん横浜では支援介助法の職員研修を行いました。
支援介助法は、廣木道心(ひろき・どうしん)先生が開発された「パニック時の誘導技術」です。相手を傷つけず、かつ自分も傷つかずに誘導する支援技術で、現在では全国の支援学校、障害者施設などで導入されています。
研修ではパニックになって自傷や他害行為を行ったり、急に飛び出したり突進するこどもを、殴ったり力で押さえつけるのではなく、手出しをかわして距離を取り、安全な位置に誘導してクールダウンさせる、という方法を練習しました。
こちらはくまさん横浜の正職員が全員必修となっている研修です。またくまさん横浜ではこうした職員研修には、ご契約の保護者にも無料でご参加いただいています。当日は強度行動障害のお子さんを持つ保護者の方々が、保護者どうしであるいは職員と手を取り合って、我が子の動きを頭に思い浮かべながら練習していただきました。
くまさん横浜はいわゆる「重い子」の多い事業所です。横浜市の手帳等級でいうと、利用の約90%がA1(最重度)・A2(重度)と、この地域では珍しい事業所です。また「強度行動障害」の児童の割合が1/4ほどと比較的多く、活動中に児童の「パニック」が見られることも珍しくありません。
障害ある子の「パニック」を体験した方ならわかりますが、子供でもその力はすざまじいものがあり、まして中高生になると、大人が全力で構えても突き飛ばされて吹っ飛んでしまったり、体当たりを止められず転倒してしまうことがよくあります。
またパニックになった子供の殴る、蹴る、噛みつき、爪立て、物投げなどで職員がケガを負うこともあるのですが、かと言って職員がそのような子を殴ったり蹴ったりして止めることはできません(完全に「虐待」になります)。ですのでそのような「非常時」に際し「職員が傷つかない」必要がある一方で「子供も傷つけず」に収束させることが求められるのです。
この「支援介助法」は、武道の技術をベースにしているものの、そのように「お互いに傷つかない」ことを目的として技術が体系づけられており、職員も保護者の方も安心してお子さんに対処できます。当日は保護者のお父様が実演で廣木先生に取り押さえられる場面もあり(笑)、オトナの力でもこの技術で対応できる、という場面が見られました。
実は廣木先生は外国の警察や軍隊での指導経験もある高いレベルの武道家です。NHKの武道番組「明鏡止水-武のKAMIWAZA-」にも招聘されて出演している有名な武道家なのですが、ご自身のご長男が重い自閉症であったことから、我が子への対応の経験からこの技術体系を作り上げられました。
「自分は武道をしてきましたから、殴るとか蹴って相手を倒すことはできるんですが、相手がわが子だからそういうことはしたくなかったんです。わが子は敵ではないので。」という言葉がとても印象的でした。また当日はそうしたプライベートなエピソードもたくさんお聞きすることができ、和気あいあいとした研修は2時間があっという間に終了しました。
廣木先生、お忙しい中、遠い大阪からわざわざお越しいただきご指導ありがとうございました。そして支援介助法協会のみなさま、色々お世話になりましてありがとうございました! ぜひまた横浜にいらしてください!
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