【中高生たちが「おこづかい帳」をつけている理由】

【中高生たちが「おこづかい帳」をつけている理由】

 中高生専用のデイサービス、くまさん横浜NEXTでは、ご存知の通り、外出をして外のレストランでお食事をしたり、お買い物をするなど生活の中で「お金」を使うことを少しずつ進めています。そしてその際に「出入金の記録」として、おこづかい帳をつけてもらっています。

 言うまでもなく「お金」は障害の有無にかかわらず、すべての大人の社会生活にとって重要なものです。まずはかんたんなところから少しでも慣れてもらおうと、「おうちから持ってきた金額」「今日使った金額」「残りの金額」を書式に従って書いてもらい、現金と付き合わせて確認をしています。もちろん書き込むことそのものに介助が必要な子もいたり、金額の数字とお金そのものがすぐに結びつかない子もいますから、先生がつきっきりで手伝っています。

 知的な障がいを持つ子供達にとっては、実は数字のような「抽象概念」の理解はなかなか容易ではありません。しかし「お金」という形を取ることで、具体的に「10円=茶色い丸いの」「1000円=おじさんが書いてある青い紙」と、頭の中での概念化が助けられます。

 そして「10円が3つ集まると30円」というのは、単に数字で書くよりも具体的に目の前で10円玉を3つ並べたほうが直感的に理解できます(小さい頃におはじきでやったのと同じです)。そのためにお金の一覧をコピーして用意し、一つ一つ現金とつき合わせながら覚えていきます。
 そして手でおこづかい帳に書き込む「数字」とそれらを繰り返し突き合わせていくことで、「数字」の理解を促していきます。こうしたことが生活の中で、ひいては「お買い物」「精算」につながり、記録をつけることで「帳簿」の概念化にまでつながっていければいいなと考えています。

 ひと口に「知的障害」と言っても個人差が大きく、数字の概念ができない子もいれば、中には「お金の扱い」を完全に理解している子もいます。自分でお買い物の時に金額を計算できる子は、先生がそばで「はい、1000円出したら、お釣りはいくら?」と暗算まで促したりする訓練もしています。

 中高生になってくると、お店でのお買い物や外食などの機会も増えてきます。次第に行動範囲も広がり、文字通り「社会に出ていく」ことになっていきます。こうした際に「お金」を少しでも理解でき「価値交換」の感覚や「計算」の概念などが使えるようになってくると、将来、生活する本人だけでなく、保護者をはじめ周囲の支援者たちもより楽になります。くまさんを卒業して大人になる子供達が少しでもこうした経験ができればと考えています。

 中高生専用のデイサービス、くまさん横浜NEXTでは、2017年度の中高生の生徒(中1~高3)にまだ空席がございます。障がいを持った中高生たちが、将来より「生きやすく」なるための様々な訓練に、子供たちが毎日取り組んでいます。ご利用希望の保護者の皆様はどうぞお気軽にお問い合わせください(^_^)。


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