ご寄付をいただくということ

ご寄付をいただくということ














 

【ご寄付をいただくということ】 ※本日は長文です

 

  これまでにもご紹介しておりますが、ありがたいことに、くまさん横浜には日本全国の心ある方からご寄付の品が届きます。

 内容は子どもたちの玩具や文具・日用品などに始まり、タオル・雑巾・洗剤などの日用品や鍋などの調理器具、そして季節の飾り付け(サンタクロースやクリスマスツリーなど)をいただくこともあります。

 

 今日は少し前のお話を書きたいと思います。

 

 年末のクリスマスの前に、鶴見区の小林様という方より宅急便が届きました。存じあげない方ですし、事前にご連絡も承っていなかったので「?」と不思議に思いつつ、職員が箱を開けたら、中から高価そうな、ケースに入ったクリスマスツリーの飾りとカレンダー、チョコレートなどが入っていました。

 

 添えられていたお手紙にはこう書いてありました。

 

「姪に教えられましたので、

  ほんの少し、送ります。

 又 あちこち 声をかけて

 少しでも お役に立てるように。

 

 寒い季節、少し時間が

  遅れましたが

 よろしくお願います」

 

 この手紙を読んだ職員は、しばらく感動でその場を動けずに、じっと考えてしまいました。

 

 こちらの方は、お顔もお名前も全く存じあげません。私達とは縁もゆかりもない方です。しかし文面から察するに、おそらく、姪御さんが以前、私どもに何かご寄付をしていただいたことがあるのでしょう。でも、それがどなたかも私たちには分かりません。

 

 しかしこの方は、お宅にあるきっと大切にされていたクリスマスツリーの飾りを、くまさんの障がい児たちが見て喜ぶだろうな、と思ってお送り下さったに違いありません。いただいたのはクリスマス前でしたから、お宅で飾ってもいい季節だったのに、姪御さんからお聞きになって、わざわざ見ず知らずの子どもたちのためにお送りいただいたのです。そして幾つかのカレンダーと、そしてクリスマスが近かったからでしょう、チョコレートやリボンも同梱して入れてくださる温かいお心遣いをいただきました。

 

 そして今この瞬間、この方はきっと、くまさんの子どもたちに何か送るものがないかと、あちこちのお知り合いの方にお声をかけて、送ってくださるものを集めていただいているのではないかと思うと、胸に熱いものがこみ上げてきました。

 

 私たちが頂戴するご寄付の品は、前に必ず持ち主の方がいらっしゃいます。そしてその方がそれを手放すのに、別に私どもではなく他の方に差し上げても良かったはずなのです。なのに、わざわざ、くまさん横浜を選んでくださってお送りいただいています。しかも送料まで自腹でお支払いいたただいて、です。

 

 極端な話、いらないものだったらゴミの日に出せば、収集車がタダで持って行ってくれるのです。でも、わざわざご自分でお金を払ってまでお送りいただくということは、やはりどなたも、子どもたちに使って欲しいと考えてお届けくださるのだと思うのです。

 

 実は私達がご寄付でいただくもっとも大きなものは、こうした「お気持ち」です。職員一同、この温かいお心に毎回感銘を受けております。それはいただいたものが何ということではなく、まったく見ず知らずの方々が寄付のお品を通じて私たちに「がんばってね!」「子供たち、任せたよ!」と言って応援してくださっている気がしてならないのです。このことが、現場の職員たちにどれだけたくさんの勇気をいただき、心を支えてくださっていることか。このことはここでいくら言葉を尽くしても書ききれません。

 

 障がい児の施設の仕事は、正直、大変なこともたくさんあります。そもそも子供を追っかけまわすキツい「肉体労働」ですし、子供の安全に目を光らせるのが仕事ですから、現場では常に緊張を解くことができません(くまさん横浜では「現場ではいつも”次の瞬間”に事故が起こると思え」と言われています)。また、排泄の介助や嘔吐の始末など「汚れ仕事」は日常茶飯事ですし、そもそも障がい児たちは「言うことを聞かない」のが当たり前ですから、整列一つとっても苦労します。

 さらに、時にはパニックになった子供を鎮めようとし、職員が子供に殴られたり噛みつかれたり、ひっかかれたりしてケガを負うことも珍しくありません。また私達の未熟さで保護者の方にご迷惑やご心配をおかけし、お叱りをいただくこともございます。

 

 もちろんこうしたことはもともと分かっていて選んだ自分の仕事です。それに文句やグチを言う気はありません。でも、職員だって人間ですから、時に疲れたり、気持ちがヘコむことだってあるんですね。そうした時、私達の心の支えになるのがこの「全国に、私達を応援してくださっている方がいらっしゃる」という事実なのです。

 

 まだ会ったこともない、道ですれ違っても分からない、まったく知らない方が、何の見返りも求めずにこうして私達の仕事にエールを送ってくださっている。寄付品が何かとかそういうことではなく、私達が日々子どもたちに向き合って頑張っていることを認めてくださり、心から応援していただく方が、横浜市だけでなく日本全国のあちこち(先日は何とイタリア在住の方からも寄付をいただきました)にいらっしゃる。

 

 そしてそうした方々はきっと、今この瞬間も、障がい児とともに歩み続けるくまさん横浜のために「何かを送って助けてあげよう」「これは喜んで使ってくれるかな?」「こんなものだったら役に立つかな?」と考えてくださっているに違いない。私達がもし、疲れたりくじけたり投げ出してしまいそうになったら、きっと「がんばれ!」「ここで負けるな!」と叱咤激励してくださるに違いない。

 

 毎回ありがたく頂戴するご寄付のお品は、それそのものもありがたいのですが、それ以上にこうしたことがとても心強く、職員たちの「明日への活力」になっております。そして、子供たちと一緒に頑張っていかなくっちゃ、と気を引き締めさせてくれる大きな力となっています。私たちは、全国の皆様に本当に心から感謝するとともに、私達に期待されている責任の大きさを、寄付品を通じてしみじみかみしめております。

 

 くまさん横浜は、開業からこの春で2年が経ちます。私たちはこれからもずっと、保護者の皆様や地域の皆様はもちろん、全国の皆様から愛され応援していただける事業所であり続けたいと考えております。これまでのご寄付の品をいだいた、すべての皆様にあらためてここで御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 

 鶴見区の小林様、このたびは誠にありがとうございました。ぜひ姪御様にもよろしくお伝え下さい。いただいたクリスマスツリーのおもちゃ、毎年子どもたちと楽しませてていただきますね。もし機会があれば一度ぜひ姪御様と遊びにいらしてください。(^_^)。

 


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