【ほうき・ぞうきんを使えるように】
【ほうき・ぞうきんを使えるように】
中高生専用の放課後等デイサービス「くまさん横浜NEXT」では、この二日間、「おそうじの練習」に取り組みました。
一日目のテーマは「ほうきの使い方」。
まず部屋の中央にテープで四角い枠を作ります。そしてその周りに、わざとシュレッダーのゴミを部屋いっぱいに撒き散らします。子どもたちのミッションは、そのゴミをほうきで枠の中に集めてくることです。
言葉にすると簡単そうですが、やってみると一筋縄ではいきません。ほうきの角度がほんの少しずれたり、力の入れ方を間違えるだけで、ゴミは思うように集まらず、あちこちに散らばってしまいます。
ゴミを「かき集める」ためには、手先や手首を細かくコントロールする必要があり、これは重い障害を抱える子どもたちにとって、なかなかの一苦労です。それでも一人ひとりが自分なりにほうきの角度を工夫しながら、粘り強く枠の中にゴミを寄せていき、最後はちりとりにきれいにおさめることができました。
そして二日目は「ぞうきんの使い方」です。
こちらは床をぞうきんで拭くだけでなく、自分でバケツの水にぞうきんを浸し、ゆすいで、しぼるところまでを一連の動作として行いました。
「ぞうきんをしぼる」という動作は、見ているぶんには何でもないことのように思えます。しかし実際にやってみると、 こちらも力の加減やタオルの持ち方、ひねりの角度一つで水がうまく切れなかったりします。「握りつぶすのでなくひねってしぼる」のに苦戦する子が多く見られました。それでも一つひとつの動作を確認しながら、職員と一緒に丁寧にやる姿が印象的でした。
そして雑巾をゆすいだあとは床拭きです。スムーズにタタタッと床をふける子もいれば、膝を床につけた「はいはい」の姿勢が苦手な子もいます。どうしても膝がつかずに宙に浮いてしまう子、雑巾についた両手を「よせて」しまう子・・・・それぞれさまざまな苦労がありました。
一見、地味に思えるこの「おそうじの練習」ですが、実は大人になったあとの生活を支える、大切な生活動作の訓練です。どんなにお掃除ロボットが進化したとしても、身の回りのちょっとしたゴミや汚れを、ささっとほうきや雑巾できれいにすることは、大人のたしなみとも言えます。
くまさん横浜は、障害者手帳(横浜市では「愛の手帳」と呼ばれています)で「最重度(= A1)」「重度(=A2)」の判定を受けている子どもたちが、全体の9割近くを占めています。
健常な方であれば何気なく行える、ほうきで掃く、ぞうきんをしぼるといった一つひとつの動作でも、こうした子どもたちにとっては大きな困難が伴います。
だからこそ、家庭の外であるくまさん横浜の場で、繰り返し練習する機会を持つことが必要だと私たちは考えています。今回の「おそうじの練習」も、その積み重ねの一つです。
もうすぐ大人になる中高生にこそ身につけておきたい技術は、実は生活動作の中にたくさんあります。「大人になるために」必要なこうした動作は、ぜひ卒業前に習得しておきたいと思い、くまさん横浜NEXTでは訓練の対象にしています。
卒業後に大事になるのはいろいろな意味での「生活力」です。学生時代の今のこの時間を、そのための投資に当てたい、とくまさん横浜は考えています。
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