【空き缶タワーチャレンジ!】

 

【空き缶タワーチャレンジ!】

 先週、【くまさん横浜NEXT】の中高生たちが室内で「空き缶タワーチャレンジ」の活動を行いました。これは空き缶を使って、バランスを考えながら高いタワーを作る活動です。「缶をできるだけ高く積む」という活動は、一見単純ですが、子どもたちの様々な力を養う課題が隠されています。

 当日までに集められ用意された缶は、様々な形・サイズのものがあり、テープで色分けされています。たくさんの缶の中から、自分の缶を選んで積んでいきます。

 ご覧のとおり、みんな真剣な表情で慎重に缶を積んでいました。下の方に太い缶を置いて始めたり、下は三角形に並べて「土台」を作ったり、ひとつひとつの缶を積み重ねながら、どうすればより高く、より安定したタワーが作れるかを考えている様子が伺えました。

 また、だんだん数が多くなってくると、立ち上がったり背伸びをしたり、自分の姿勢も変えていかないと積めなくなってきます。自分と対象物の位置関係も変化する中で、バランスを保ちながら慎重に積み上げていく姿からは、集中力の向上と達成感への意欲が感じられました。
 
 中には缶の色を見ながら配置を考える子もいました。貼られている色のテープを見て「全部同じ色で並べる」「一つおきに黒い缶にする」などの「見た目」に配慮している様子が見られました。

 こうした時、くまさんの職員は邪魔をしないよう、できるだけ手を出さずに近くで見守ります。子どもたちが自分の頭で考え、自分の感覚を頼りにし、試行錯誤しながら積んでいくその時間そのものが重要なので、できるだけ邪魔しないことが大事なのです。

 ひとつひとつの缶を慎重に積み上げる作業は、自然と集中力が求められ、しかもそれが持続する力が養われます。缶を正確に指でつかみ、微調整しながら積み上げる動作には、指先の細かな動きをコントロールする力も必要です。繊細な手指の動きが求められるため、これは日常生活での様々な動作にも良い影響を与えます。

 そして缶のバランスや重心を考えながら積み上げることで、三次元的な空間を把握する能力が向上します。物体の位置関係や距離感を正確に捉える力は、日常生活を送る上で重要な能力です。

 さらに「どうすれば崩れずに高く積めるか」を繰り返し考えることは、自然と論理的思考力の初歩的な訓練にもなります。これらのことはすべて、将来大人になった時に、子どもたちの総合的な「能力」として日常生活のあらゆる場面で役立っていきます。

 今回のこの「空き缶タワーチャレンジ」では、子どもたちの真剣に取り組む姿勢と、完成した時の嬉しそうな表情が印象的でした。一件単純に見える活動ですが、指先の巧緻性から空間認知能力まで、実は多くの訓練と成長の機会が詰まったすばらしい課題の時間となりました。

 くまさん横浜では、日頃から「小学生」と「中高生」を分けて支援訓練をしています。中高生になると、小学生には少し難しい課題や、就労で求められる能力を育む課題に移行していきます。私達は障害ある子どもたちの健全な育成には、こうした成長時期に合わせたキメ細かな課題と訓練が必要と考えています。

 「中高生には中高生の放課後デイを」。くまさん横浜NEXTは、今年で10周年を迎えます。


※くまさん横浜では、児童の写真は保護者の許可を得て掲載しております。
当ページで使用している写真の無断コピー/使用はご遠慮ください。